Research
健康意識が高い現代において、食品成分による生態調節機能は、最も注目されている食品の機能の1つです。私たちの研究室では、ヨーグルトなどに用いられる乳酸菌やビフィズス菌(プロバイオティクス)、多様な機能が注目されるポリフェノールやプレバイオティクスなど、食品成分による生態調節機能を研究しています。食品機能学、免疫学、生理学をベースとして、生活習慣病、皮膚疾患、炎症性疾患などの軽減・予防を目指して日々活動しています。
食品の機能性を探求する研究室が数多くある中、私たちの研究の特徴は、特に消化管機能に着目している点です。近年の研究により、消化管機能や腸内環境が私たちの健康に密接に関わることが明らかになり、消化管の機能不全は、様々な疾病につながることが知られています。食品成分による消化管機能調節作用を理解し、その調節作用を通して、健康に役立つ食品成分を開発することを目指しています。個体レベルの動物実験、遺伝子・分子レベルの解析等を組み合わせて研究を進めます。
消化管保護作用をもつ食品成分に関する研究
消化管の機能異常は多くの疾患のきっかけになります。野菜や果実に含まれるポリフェノールやプレバイオティクス、プロバイオティクスのもつ消化管バリア保護作用、抗炎症作用を見出し、そのメカニズムの解明を目指して、疾病の予防につなげていきます。難病の一つ、炎症性腸疾患の新たな予防法の開発にも挑戦します。
皮膚の健康を守る食品成分に関する研究
皮膚の健康は、腸や腸内細菌と深く関わりますが、その連関に着目した機能性食品はありません。アレルギー性皮膚炎や乾癬という皮膚疾患モデルマウスを用いながら、皮膚の健康に貢献できる食品成分を探索します。プロバイオティクスに着目し、皮膚疾患の新たな予防や「食べる化粧品」の開発を目指します。
慢性腎臓病を制御する食品成分に関する研究
新たな国民病とされている慢性腎臓病を予防する食品素材を見出し、新規高機能食品の開発につなげていきます。プロバイオティクス(乳酸菌やビフィズス菌)、プレバイオティクスに注目し、「腎」と「腸」とのかかわり(腸腎連関)を腸内細菌の役割も含めて明らかにすることを目指します。
微生物に由来する機能性核酸に関する研究
微生物に由来する核酸分子は免疫機能性を有することが知られています。プロバイオティクスに由来する機能性核酸と疾患制御因子との関わりを解明し、様々な疾患に対する機能性食品の開発を目指します。
微生物抗原を用いた経口粘膜ワクチンの開発に関する研究
粘膜ワクチンは粘膜免疫系の調節を介して全身免疫系に影響を及ぼすことが知られています。微生物の抗原を包摂した腸管粘膜を標的とする粘膜ワクチンを作出し、感染症の予防につなげていきます。